借地権更新料・名義書換料・増改築承諾料等相場
借地権更新料・増改築承諾料・名義書換料の価額水準・相場の紹介
更新料、増改築承諾料、名義書換料(譲渡承諾料)など、借地契約において生じる一時金につきまして、現実の支払事例や借地非訟手続きにおける裁判所の裁決例等を参考にして、価額水準・相場をまとめてみました。
これらの一時金はあくまでも当事者間の合意により決められるものですので、相場と言っても、単なる目安に過ぎません。その点をご留意の上、ご参考にしていただければと思います。
(借地権更新料・増改築承諾料・名義書換料)
借地権の更新料
授受の時期
土地賃貸借契約(借地契約)の更新時
更新料算定の一般的な傾向(事例等による相場)
◇借地権価格の5%程度(事例により、かなりの幅がある)。東京・横浜地区は若干高めになる傾向にある。
◇以前(地価高騰期等)は借地権価格を基礎とするケースが多かったが、近年は更地価格を基礎とする例が増えており、東京・横浜地区等では地主が更地価格の5%程度を要求する例も多くみられる。
以上は非堅固建物(木造等)所有目的で契約期間が20年の旧法借地権の例であり、堅固建物(鉄骨造等) 所有目的等で契約期間が30年以上の借地権はこれらの例よりも一般的に高くなります。
法的性格・授受の根拠等
借地権の更新料に関しては法的な根拠はないが、東京などの大都会やその周辺地域においては授受されるケースが多い。
(判例で根拠として比較的多いもの)
◇地代が低額な場合の補充
◇更新に関して地主が異議権を放棄することに対する対価
◇更新に関する訴訟回避の利益
裁判で、更新料支払の慣習ないし慣習法を認めた判決はほとんどありません。
借地権の建替え(増改築)承諾料
授受の時期
借地上の建物の建替え・増改築時(条件変更を伴わないもの)
一般の価額算定基準
◇更地価格の2~5%。(借地非訟事件の決定例はほぼこの中に集中している。)
◇東京地裁の決定例では、次のような場合は、増改築承諾料として更地価格の3%とする例が多く、一応の基準となっているようである。
- 従前の建物と用途や規模がほぼ同一
- 過去に一時金の授受がない
- 近い将来借地権の消滅の可能性がない
- 過去の賃料がほぼ適正
◇床面積の増加や用途の変更のような場合は5%程度まで上がることもある。反対に部分的な改築の場合は1%程度になることもある。
法的性格・授受の根拠等
一般に借地の賃料は土地の資産価値(地価)に比べ著しく低い傾向にあるため、貸主は概して借地権が早期に消滅することを望んでいます。借地契約に増改築を制限する特約がつけられることが多いのは、建物の朽廃により、借地権を早期に消滅させたいという貸主の願望が反映した結果ともいえます。
したがって、増改築を承諾することは、これら貸主の利益が失われることであり、それを補填するものとして授受される金銭といえます。
端的にいえば、不足賃料の一部回収、増改築制限特約の解除に対する対価と考えられます。
借地権の条件変更承諾料
授受の時期
非堅固な建物から堅固な建物利用等への借地条件の変更時
一般の価額算定基準
更地価格の10%程度
法的性格・授受の根拠等
(裁判の許可例で多いもの)
◇借地を堅固な建物に利用できることによる超過利潤の一部を地主に分与するもの。
◇強固な権利が創設されるための一種の権利金。
◇裁判所の決定があると、その時点から30年の借地期間が設定される。
借地権の名義書換料(名義変更料)(譲渡承諾料)
授受の時期
借地権(賃借権)の売却時等
一般の価額算定基準
借地権価格の10%程度
◇この算定の基礎となる借地権価格については、原則として、借地権の正常価格、すなわち合理的な自由市場において形成されるであろう適正な市場価格を用いる。
◇実際の借地権の取引価格は、借地権価格を算定する際に考慮すべき一資料とみなされるべき。
◇一般的に期間の延長は含まれない。
◇相続による名義書換の場合は必要ない。
法的性格・授受の根拠等
借地権のうち賃借権を他人に譲渡・転貸するときは貸主の承諾を受けなければなりません(民法612条1項)。
名義書換料は承諾を与えることの対価といえます。法律上は承諾料を必要とする規定はないのですが、貸主は承諾料を支払わなければ、譲渡を認めません。また、代諾許可の裁判においても、ほとんどの場合、承諾料の支払いが命じられています。
結局、借主は承諾料(名義書換料)を支払わざるを得ないことになります。
建替え(増改築)承諾・条件変更承諾・譲渡承諾は借地非訟事件手続きが利用できるため、裁判所の決定例により承諾料の相場がほぼ形成されています。
それに対して更新料はそもそも法的根拠がなく、借地非訟事件手続きの利用も認められていないため、決まり方や金額もケースによってさまざまです。
上記の価格水準・相場は、各承諾料等を決める場合の目安と考えて下さい。
現実の価格は貸主・借主の合意により決められますので、本表の数値とはかけ離れた水準で決まる例も少なからずあります。
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